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Beauty Source キレイの魔法

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恋愛セミナー44【夕霧】

結婚後の倦怠期、キレイでいることを忘れると?
慣れきった夫婦のあり方。
糟糠の妻の強さと脆さ。

強引に迫れば恋は成就する?
一途さが野暮にもなる恋の手管。

第三十九帖 <夕霧-1 ゆうぎり> あらすじ

夕霧は日増しに落葉宮への思いがつのります。
母・御息所も夕霧の誠実な人柄をうれしく思っていますが、落葉宮はなかなか心を開きません。

御息所が病気になったので、落葉宮をはじめ皆、小野の山荘に移り、祈祷をさせることになりました。
車の手配やお布施の用意など誠意をこめて世話をする夕霧。
御息所は筆を持つこともままならないので、落葉宮がお礼の文を書きますが、その筆跡はとても美しく
夕霧はますます心が惹かれてしまうのでした。

夕霧は小野に落葉宮を訪ね、年来の気持ちを女房・小少将などにうったえます。
すっかり夕霧の味方になってしまう女房達。
だんだんと日が暮れて霧が立ちこめる中、物の怪が現われて御息所の容態が悪化し、
女房達はほとんどそちらへ行ってしまいました。
夕霧は落葉宮に直接思いを伝えようと、待たせてあったお供を帰してしまいます。

「霧で道もわからなくなりましたので。」と言う夕霧をいぶかしく思う落葉宮。
女房の一人が御簾に入る後ろから続いて、夕霧は落葉宮のそばに近づきます。
慌てて逃げ、襖をしめた落葉宮ですが、衣の裾が部屋に残って夕霧にとらえられてしまいました。

「これ以上のことは何も。だた胸の内をお伝えしたくて。」と襖の向こうにうったえる夕霧。
「幼いことを。男と女のことわりがお分りにならないあなたではないでしょう。」という夕霧の言葉に傷つき
「夫の死にもあなたの邪まな思いにも袖を濡らし噂される私。」と詠む落葉宮。
やっと声をきけたうれしさに何度もその歌を口ずさみ、
「私のせいではなくご結婚を経験されたあなたのお噂はすでに。どうぞお心を決めてください。」と応える夕霧。
やはり気品があって美しい落葉宮を月の光りが照らすほうに抱き寄せつつ、
「私の思いのだけを知ってください。お許しがなければ、絶対に、ええ絶対に。」
こんなことを言い続けているうちに、夜が明け始めました。

落葉宮は舅である元の大臣や朱雀院の思惑、それに柏木からも妻としてあまりよい扱いを受けてこなかったことを思い、
とても夕霧を受け入れる気にはなれなれません。
夕霧は虚しく、朝露に濡れながら帰ります。

雲居の雁にわからないよう、三条の屋敷には戻らず六条院で着替えをした夕霧。
早速、小野に文を届けますが、落葉宮は返事をしようともしません。
女房たちも何があったのか詳しくはわからず、御息所には伝えないまま。
ところが祈祷をしている僧がうっかりと、夕霧が明け方落葉宮のもとから帰っていったことを話してしまいます。

皇女の身で臣下に嫁がせて苦労したこともあって、夕霧のことを心外に思い、病気がますます悪くなる御息所。
落葉宮に会っても、お互いにはっきりとは言い及ぶことができないままに、夕霧の文が届けられます。
今夜はやってこない様子に、御息所はさらに心を痛め
「ここをどこだと思って一夜だけ宿を借りたのか」と震える手で返事を書き、倒れてしまいました。

三条の屋敷でこの文を受けとった夕霧でしたが、夜歩きをしている夫を気にかけた雲井の雁に、
読もうとするそばから取り上げられてしまいます。
花散里からの文だとごまかしても返してもらえそうもなく
「浮気もせずにあなた一人を守っているなんて張り合いもないでしょう。」と言う夕霧。
「もとからこんな浮気沙汰に慣らしておいてくれたらよかったのに」と拗ねる雲居の雁はとても可愛らしくて憎めず、
文を取り返せないままに一日がたってしまうのでした。

恋愛セミナー44

1 夕霧と落葉宮    ついに思いを
2 夕霧と雲居の雁   波風のなかった夫婦

夕霧が動き始めました。
柏木が亡くなって約三年。
恋する思いを押さえつつ、ゆっくりと足固めをしていたのです。

落葉宮も御息所も、夕霧の恋を受け入れられないようですが、周りの女房達は違います。
皇族とは言え、結婚した夫が亡くなくなってしまえば、強力な後ろ盾がなくなってしまう。
女三宮ほどには帝や朱雀院から優遇されてはいない落葉宮の境遇の、先細りは見えています。

そのうえ、未亡人である落葉宮は好色な目にさらされている。
夕霧も言うように一度結婚したのだから、という世間の思いは女房たちもわかっている。
だからこそ、同じことなら有望な夕霧に支えになってもらった方がよい。
末摘花ほどではありませんが、経済的にも心細くなりがちの宮家に仕える女房たちにとって、
落葉宮と夕霧との結婚は望むところなのです。

落葉宮も御息所も、夕霧の長年の好意を色恋とは取ろうとしなかった。
世間から軽んじられていることを意識しているからこそ、頑なになっている。
このあたりの機微をおそらく源氏なら理解し、心では軽んじていても、色には出さずに迫ったことでしょう。

さて、真面目な夫に安心していた雲居の雁。
いくら夕霧が取り繕っても、新たな相手との関係が進行しているのはあきらかです。
それでも、このふたりのやり取りはどことなくユーモラス。
文を取り上げたり、嫉妬の言葉を話しても可愛い雲居の雁。
たくさんの子供を産み、威張っていても、どこまでも一途に夕霧のみを愛し頼りにしているのです。
夕霧は源氏と同じように、たくさんの女性の中で一番に思われた方がよいと妻に思わせようとしていますが、
お互い、浮気そのものに慣れていないので説得力がないですね。

落葉宮と一夜を過ごしながら思いは果せず、妻には恨まれ。
不器用な夕霧の恋はどうなってゆくのでしょうか。


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